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〒910-8507 福井県福井市文京3-9-1
福井大学 繊維・マテリアル研究センター
田上秀一・山下義裕・植松英之

研究概要(concept)

コンセプト

力学特性、熱電気特性に優れた高分子をベースとした製品を精度良くまた効率良く創出するための、材料設計あるいは成形プロセスを最適化するための研究を遂行している。


高分子成形加工プロセスの解析

高分子成形加工における高分子流体の熱・流動について粘弾性を考慮した計算機シミュレーションを実施しており,計算機によるプロセス設計支援,各種諸現象の解明を目指し,研究を遂行している。現在では,フィルム成形,紡糸,異型押出成形などの押出成形をターゲットにしている。下図は,ロの字型断面を有するダイから押し出された押出物形状の計算結果例です。押出物先端でダイ出口における平均流速と同じ速度で引き取る操作を表現している。押出物全体の形状,製品設計に重要な引き取り部における断面形状が三次元的に捉えられていることがわかります。
近年,有能なソフトウェアが数多く開発・市販されていますが,それを使いこなすには粘弾性流動解析の基礎知識が必要不可欠であり,実際の成形加工をターゲットとして粘弾性流動計算を本格的に実施している我々の研究内容に対する産業界の要求度は高いです。


ナノファイバーの作製/評価と医工連携

細くて長い繊維を創出する技術の一つとして静電気力を利用したエレクトロスピニング技術が挙げられる。昨今では、ナノファイバーのアプリケーションへのシーズ創出が求められていおり、本研究室では、生体的合成に優れる繭かを成分としたナノファイバーを作製する技術を保有し、人口血管やiPS細胞を培養するための基材創出を目指している。また、多くの研究グループにて植物繊維から作られるセルロースナノファイバーの実用化研究が加速しているが、ナノファイバーであるが故の安全性は皆無である。そのため、本研究室ではセルロースナノファイバーの安全性を解析すると共に、複合化した機能性繊維材料の開発を推進している。


繊維強化複合材料の力学特性と界面特性

炭素繊維やガラス繊維を高分子と複合化した繊維強化複合材料の力学特性は、繊維とマトリクス高分子の界面接着性に強く依存することは周知の事実である。近年では、リサイクル性の高い熱可塑性高分子をマトリクスとした複合材料へのニーズが高いこと、本研究室では熱可塑性高分子をベースとした材料および加工プロセスを研究していることから、熱可塑性高分子の構造と界面特性の関係を中心に研究している。特に、強化繊維の表面粗さや官能基と熱可塑性高分子の結晶構造の形成機構に着目し、サブミクロンスケールでの熱可塑性高分子の構造と界面特性を相関付ける取組をしている。また福井県では炭素繊維を空気開繊することで品質の高い炭素繊維複合材料を創出する技術を保有しているため、福井県工業技術センターあるいは福井県内企業と連携することで、実用化に向けた複合材料開発を推進している。

高分子加工学研究室
(田上秀一・山下義裕・植松英之)

〒910-8507
福井県福井市文京3-9-1
TEL.0776-27-0500(代表)
FAX.0776-27-8767